結果を先に書くと、優勝しました。
そして、出来上がったものを先に載せると、以下のような物で、テーマは「自然淘汰」。制限時間は8時間の一本勝負です。
Madrix (Cut and Paste Tokyo 2009 Theme:Natural selection) from hsgn on Vimeo.
当日の流れを大まかに書いてみようと思います。
まず、9:00にWOMB集合とのことだったので、8:58頃に到着していたのですが、誰もいません。勝手に中に入って人が来るのを待ちます。ぼちぼちとスタッフや参加者が現れ、名刺を渡して英語で褒められるなどしつつ、設営。
当日の作業環境は全員にCintiq21inchが提供され、PCは自由というルールでした。僕はMBPを持ち込みノートとCintiqの構成ですが、参加者によって様々で、iMacをレンタルしたり、デスクトップを持ち込んでいる人も。我々Motion部門はWOMBの4Fに設営されており、通常は見る事ができない場所にありましたが、2D、3D部門はその場で実演するのでメインフロアに設営されます。ここでG5の箱がたくさん見えて少し羨ましかったです。
設営も終わり、開始時間が刻一刻と近づいているのにも関わらず斎藤俊介氏がまだ来ません。流石大物だなぁなどと勝手に解釈しつつ、ルールの確認と持ち込み素材のチェックが入ります。Cut&Pasteは1週間前にテーマが発表され、素材を4つまで持ち込む事が出来ます。そのルールはなかなか曖昧なのですが、30秒以内の実写素材か、レイヤーに分かれていないPSDファイルなど。そんなに適当なルールならば、PSDにzipファイルをデータとして埋め込んでやろうかと考えましたが、大人げないのでやめました。また、イラストの入っていないメモの持ち込みが許可されています。隣の席にいた鈴木 悟史氏はキーフレームの数字まで書き込んだ文字コンテを作っていて、綿密な準備をしていて偉いなぁと関心すると同時に、大喜利はその場で答え考えてるわけじゃないことを思い出しました。しまった。
そんな訳で、僕が持ち込んだ素材はトイレのアイコンのトレースと、扉の扇形と、風呂の角丸矩形と、そのくらいです。スロットが勿体ないので音楽配置しただけのFlaファイルとかテクスチャ素材とか一応入れておきましたが。今考えると絵コンテ考えてないのはちょっとおかしいのですが、本当に最初の1秒以外はその場で凌ぎました。15秒の音楽500回も聞けば何とかなる物です。
そもそも、なぜ間取りなのかというと、大元の考えとして「自然淘汰というお題は、自然物以外で淘汰を表現せよ、という問と同義」と考えていたからです。国語問題必勝法を思い出しますね。そうしたコンセプトの元、色々アイデアを出していたのですが、どれも弱点があり、なかなか難しいものです。以下が没案。
・看板
新宿のネオン街の看板が淘汰される様子。最初と最後の文字さえ合っていればそれらしく読めるという特質を利用してマヨツキトモシとかそういった看板を出す案。光り物なのでプロジェクター映えするという利点があるものの、社会風刺的で泥臭いのとベタすぎるのが弱点。
・コンビニの飲料陳列棚TimeLapse
商品の9割がすぐ入れ替わるコンビニはまさに自然淘汰そのもの。しかし経済が絡んでくるとどうしても社会風刺的な匂いがしてしまうのと、制作方法が物理的に不可能な点で却下。
・キーボードのキー
かなり初期に出たアイデアです。使用頻度の低い「Q」などが淘汰されたり、イベント名にちなんで「command(ctrl)」「C」「V」が生き残る、などの小手先のアイデアのみが先攻しました。アルファベット全てを対象にするのは時間的に厳しいと感じたため却下。
・食器
多様性が自然淘汰によって現在に集約して行くと考えると、どうしても「段々減って行く画になってしまうのではないか」という問題提起があり、逆再生、すなわち、今あるシンプルな何かは元を辿るとカオスな集合に還元されるというパターンを考えました。この発想自体はかなりいいと思うのですが、カオスな集合に必然性を持たせるのが難しく断念。
・言語
英語、日本語、中国語などの言語同士の自然淘汰。結果が大体予想できる(英語か中国語など)のはどうだろう、という点と、思い入れがない物が多いという点で却下。このアイデアが出るあたりで、実際に自然淘汰が行われているのが明らかなものよりも、「もしこれが自然淘汰したら」という着眼点に立った方が面白いのではないかという方向性に気付きます。
・将棋の駒
アルファベットの種類が多すぎるのであれば将棋の駒は適度な種類だろう、という出発点です。飛車が7枚画面にあるだけでも面白い画になるだろうということと、何らかの駒に視聴者が思い入れがあるはず、ということで「あー応援してた桂馬食べられちゃった。。」という感情を喚起できればいいなと思い、有力候補でした。しかし、将棋の認知度が実は低く、駒の動かし方すら知らない人が多いらしいということを知り却下しました。
・弁当の中身
認知度が高く、思い入れを感じさせるキャラクターということで、海老フライやイカリング、ブロッコリーの天ぷらなどがその面積を争う箱庭的なストップモーションを考えました。素材持ち込みの制限は「これ全部昼ご飯です。」と言い張り、「昼ご飯を食べていたらひらめきました」と主張するつもりであったのですが、ライブでストップモーションを綺麗に撮るのは困難であろうということで断念しました。作っているところが完全に実況されるなら最もこれが面白かったでしょう。
・AfterEffectsそのもの
制作そのものが自然淘汰という大胆な案。AfterEffectsを20個ほど立ち上げて、異なる重い処理を同時に走らせる。その後最後まで生き残ったAfterEffectsからの映像が「解答」。僕はこういうのが大好きなのですが、あまりにGeekだろうということで却下。
他にも色々あった気がしますが、失念しました。以上の案は@olo氏、@needle氏、@psyark氏などと相談しつつ出たアイデアの一部です。
こうしたアイデアを出しつつも、どれも弱点があって困るなと悩んでいると、突然間取り図のアイデアが浮かび、@psyark氏に「これ、間取り図でやったらどうっすか?」と聞いたところ「俺のブクマの間取り図フォルダが火を噴くときがきましたね。」とメールが返ってきて本当に吹きました。間取り図フォルダ。
そうして間取り図を煮詰めて、全く具体的なことは考えずに会場に向かい、斎藤俊介氏が到着しないまま8時間勝負が始まりました。そして開始30分もしないうちに当初考えていたアイデアや構想は到底実装不可能ということに気付き、後は音に手を任せる事にしました。
おそらく1時間ほどたってから斎藤俊介氏が到着、作業開始という漫画的な展開を経つつスタッフが大量のサブウェイのサンドウィッチをどさどさと机に出し、好きなの食べて、と昼ご飯が提供されました。英語で「なんか小さくない?」「ハハ、これは小さい日本人のための小さいフードなんだよ!」とかしゃべってるのを「・・このやろう」とか思いつつ食べます。3つくらい食べたかったのですが、手が足りませんでした。
そして時間は6時間7時間と過ぎ、プロジェクターで再生するのにDV形式で書き出すという規定に従い作品を提出するに至ります。
ちなみに、Cintiqを液晶タブレットとして使っていたのは僕だけだったのですが、とても使いやすく、音の配置されたFlashのタイムラインを擦るのは快感でした。一方で、強烈な筋肉痛と肩こりに後日襲われたのも事実です。立てて使う物ではないようです。
最終的には、斎藤俊介氏が遅れてきて準優勝という格好いいことをしつつ、そのハンデのおかげか美味しいところを頂くに至ります。相談に乗って頂いた方々、楽曲を提供していただいたcubesato氏、見にきてくださった方々、ありがとうございます。控え室で審査員の方々に頂いた言葉はとても嬉しかったです。
次はNYです。